埼玉県は47の都道府県の一つであり、それぞれに独自の文化や歴史が息づいています。
その中でも、土地ごとの個性が色濃く表れるのが「方言」です。
方言には、その地域ならではの温かみやユーモア、時には言葉だけでは伝わらない微妙なニュアンスが詰まっています。
本記事では、埼玉県の特徴的な方言や例文などを紹介していきます。
あなたの地元の言葉はもちろん、知らない土地の方言にも、思わず「おもしろい!」と感じる発見があるかもしれません。
それでは、方言の世界へ一緒に旅してみましょう!
埼玉県の方言 一覧表(ア行)
| 方言 | 意味 | 例文 | 例文の意味 |
| あいさ | 合間。 | 勤めのあいさに桑切りしたんさ | 勤めをしている合間に桑切りもしたのさ |
| あぐ | 顎。 | あぐにできもんできた | 顎にできものができた |
| あさっぱら | 朝。早朝。 | こんなあさっぱらからねーとりしてるんかい | こんなに早朝から苗取りをしているのかい |
| あにー | 兄。 | あにー、そこのしゃじとってくんろ | 兄さん、そこのさじを取ってくれ |
| あめんぼー | つらら。 | あめんぼーがさがった | つららが下がった |
| あわい | 普段。平素。 | あわいにゃー靴なんかはかなかったで | 普段は靴なんかはかなかったよ |
| あんぶく | 泡。あぶく。 | あんぶくたった | あぶくがたった |
| いきれる | 蒸している。 | 今日はいきれてらいねー | 今日は蒸しているね |
| いまし | 今。ちょうど今。 | かあちゃんはいましけーったべーだいな | 母ちゃんはちょうど今帰ったばかりだよ |
| いんごっぱち | 強情者。頑固者。 | とーちゃんはいんごっぱちだかんな | 父ちゃんは頑固者だからな |
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うちゃる
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捨てる。
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そけーごみをうちゃるなよ | そこへごみを捨てるなよ |
| なんでもうちゃるから子どもには目が離せねー | なんでも捨てるから子どもから目が離せない | ||
| うでっこき | 思いっきり。 | うでっこきいいもん作るど | 思いっきり良いものを作るぞ |
| うむす | 蒸す。 | 芯がなくなるように良くうむすんだよ | 芯がなくなるように良く蒸すんだよ |
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えら
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大層。たくさん。大変。
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今朝はえらさみーな | 今朝はたいそう寒いな |
| えら食うなー | たくさん食べるなあ | ||
| えー | 共同。手伝い合うこと。 | 今年の田植えはえーでやるべー | 今年の田植えは共同でやりましょう |
| おこさま | 蚕(かいこ)。 | おこさまがめーつくった | 蚕がまゆを作った |
| おだあげ | むだ話。 | おだあげべーしてねーで、ちったー仕事しろ | むだ話ばかりしていないで、少しは仕事をしろ |
| おちわ | 団扇(うちわ)。 | おちわであおいでもあちーな | 団扇で扇いでも暑いな |
| おっつぁばく | 裂く。破く。 | てねげおっつぁばいてしばっとけ | てぬぐいを破いてしばっておけ |
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おっぺす
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押す。
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呼び鈴をおっぺす | 呼び鈴を押す |
| 車をおっぺしてくれ | 車を押してくれ | ||
| おぶー | 背負う。 | あかっこおぶってりゃーぬくてーやいな | 赤ん坊を背負っていると暖かいよな |
埼玉県の方言 一覧表(カ行)
| 方言 | 意味 | 例文 | 例文の意味 |
| かくねがんしょ | かくれんぼ。 | 今日はかくねがんしょしてあすんべー | 今日はかくれんぼして遊ぼう |
| かまぎっちょ | とかげ。かなへび。 | 庭のすみっこにかまぎっちょがいたで | 庭の隅にとかげがいたよ |
| きぬー | 昨日。 | きぬーはずいぶん雨が降ったなー | 昨日はずいぶん雨が降ったな |
| きびしょ | 急須(きゅうす)。 | きびしょ落として足にやけっぱたした | 急須を落として足にやけどした |
| きょーび | 今日(こんにち)。近頃。 | きょーびの子どもは落ち着きがねーな | 最近の子どもは落ち着きがないな |
| くちべろ | 唇。 | ぶんなぐらいてくちべろ切った | 殴られて唇を切った |
| くっかく | 欠く。嚙みくだく。 | 梅干しの種をくっかいて中身を食うとうめー | 梅干しの種を嚙みくだいて中身を食べるとうまい |
| くね | 垣根。生け垣。 | くねんとこにちっちぇー鳥がとまってた | 垣根の所に、小さい鳥がとまっていた |
| けったりー | 疲れた。だるい。 | 熱があるんでけったりーやいな | 熱があるのでだるいよ |
| けなりー | うらやましい。 | けなりーな、あの人はいいことべーあって | うらやましいな、あの人はいいことばかりあって |
| けんむし | 毛虫。 | けんむしがおっこちてきた | 毛虫が落ちてきた |
| こそこそ | こつこつ。少しずつ。 | 田植えの準備はうんとめーからこそこそしとくもんだ | 田植えの準備はずっと前から少しずつしておくものだ |
| ごくやすみ | 食事後の休み。 | ごくやすみしなきゃーからだに毒だいな | 食事後の休みをとらなくてはからだに良くないな |
埼玉県の方言 一覧表(サ行)
| 方言 | 意味 | 例文 | 例文の意味 |
| さがねる | 探す。 | そけーらじゅーさがねたけんどめっかんねーや | そこいら中を探したけれど見つからないよ |
| ささらほーさら | ばらばら。めちゃくちゃ。 | 部屋ん中がささらほーさらだい | 部屋の中がめちゃくちゃだよ |
| さむしー | 寂しい。 | 今夜ひとりっきりじゃさむしーな | 今夜一人きりでは寂しいな |
| しあんぼ | けち。 | あいつはしあんぼだからためこんでらい | あいつはけちだからいっぱい金をためているよ |
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しった
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〈鍋などの〉底。下。
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もー少ししったのほーだと取るんが楽なんだけんどな | もう少し下の方だと取るのが楽なのだけどな |
| 樽のしったに隠れてる | 樽の下に隠れている | ||
| じゃんか | あばた。 | 尻がじゃんかになってる | 尻があばたになっている |
| じょーり | 草履(ぞうり)。 | ぬかってるとこをじょーりばきだとしりっぱねがあがっちまう |
ぬかるんでいる所を草履ばきだと尻まで泥がはねあがってしまう
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| じんぎ | 辞儀。挨拶。 | 世話になったから良くじんぎゆっとくんだよ | お世話になったからよく挨拶をしておくんだよ |
| すぐりみち | 隣家へ行くための近道となる細いぬけ道。 | 昔はどこんち行くにもすぐりみちがあったい | 昔はどこの家に行くにも細いぬけ道があったな |
| ずねー | かなり大きい。 | ずねーへーびがいたど | かなり大きな蛇がいたよ |
| ずー | 上ぞくするころの成熟した蚕。熟蚕。 | ずーがでたからはーあげべー | 熟蚕がでたからもう蚕上げしよう |
| せなご | 長男。 | おめんちのせなごもえらくなった | お前の家の長男もえらくなった |
| せんみ | 蟬。 | せんみにしょんべんひっかけらいた | 蟬に小便をかけられた |
| せー | 〜して下さい。 | はいく湯に入らっせー | 早く風呂にお入りください |
| そらっぺ | うそ。虚言。 | そらっぺこくな | うそを言うな |
埼玉県の方言 一覧表(タ行)
| 方言 | 意味 | 例文 | 例文の意味 |
| たっぺ | 霜柱。 | さみー日の朝はたっぺが立つ | 寒い日の朝は霜柱が立つ |
| たぼこ | 煙草(たばこ)。 | ちょっくらたぼこ買ってくる | ちょっとたばこを買ってくる |
| たまか | 倹約がうまい。粗末な。 | たまかにしてりゃ金がたまらい | 倹約していれば金がたまるよ |
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ちっとんべー
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少しばかり。
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もうちっとんべーごはんをくれ | もう少しご飯をくれ |
| しよがちっとんべーしかねー | 塩が少ししかない | ||
| ちゃぞっぺー | お茶菓子。 | ちゃぞっぺーにゃーこーこが一番だい | お茶菓子にはたくあんが一番だな |
| ちょちょべっこ | 蝶々。 | ちょちょべっこがいっぺー飛んでらー | 蝶々がいっぱい飛んでいるよ |
| つっぺる | 落ちる。入る。 | 川につっぺるからあぶねーど | 川に落ちるからあぶないよ |
| つばくろ | つばめ。 | 春なのにつばくろがからっきり見あたんねー | 春なのにつばめが全然見あたらない |
| てんづけ | いきなり。すぐに。 | 練習もしねーでてんずけ歌いだした | 練習もしないでいきなり歌いだした |
| とぶぐち | 玄関口。 | とぶぐちの方へまわってくんない | 玄関口の方へまわってください |
| どどめ | 〈熟した〉桑の実。 | どどめをくーと口がまっかになるよ | 桑の実を食べると口が真っ赤になるよ |
埼玉県の方言 一覧表(ナ行)
| 方言 | 意味 | 例文 | 例文の意味 |
| なから | かなり。たくさん。 | なからへーがはいてたいな | かなり稗が生えていたな |
| なびる | 塗る。 | 傷口に薬をなびっとけ | 傷口に薬を塗っておけ |
| にしら | おまえ。おまえら。 | にしら、わりーことするときかねーど | おまえら、悪いことすると容赦しないぞ |
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ぬくとい
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暖かい。あったかい。
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ここは風がきねーから、ぬくといなー | ここは風がこないから、暖かいな |
| おめーの手はぬくといな | お前の手は暖かいな | ||
| ねんじん | 人参。 | ゆんべはねんじんとでーこんの煮物だった | 昨晩は人参と大根の煮物だった |
| のたくる | 苦しそうにもだえる。 | 炎天下でめめずがのたくってた | 炎天下でみみずが苦しそうにもだえていた |
| のめっこい | つきあいやすい。遠慮がいらない。 | おめんちのかーちゃんはのめっこくていいよ | お前の家の母さんはつきあいやすくていいよ |
埼玉県の方言 一覧表(ハ行)
| 方言 | 意味 | 例文 | 例文の意味 |
| はぐ | 対になっているものの片方が違うこと。 | この靴ははぐだ | この靴は片方が違うな |
| はぐる | 〜しそこなう。 | 一度寝はぐったら、はー眠れねー | 一度寝そこねたら、もう眠れない |
| ひぼ | 紐。 | ひぼで枝をまるくのがよかんべー | 紐で枝を束ねるのがよいだろう |
| ふるしき | 風呂敷。 | ふるしきにつつんでおぶってけ | 風呂敷に包んで背負っていけ |
| へーし | やたらに。しだいに。 | へーがへーし増えてこまらい | 稗がやたらに増えて困るよ |
| へーび | 蛇。 | あそこはへーびが出るからおっかねーど | あそこは蛇が出るから恐ろしいぞ |
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へーる
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入る。
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湯いへーる | 湯に入る |
| だれもここにはへーれねーだんべ | 誰もここには入れないだろう | ||
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べろ
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舌。
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べろがいてー | 舌が痛い |
| あかんべーと言いながら、べろを出す | あかんべーと言いながら、舌を出す | ||
| ほりっこ | 堀。用水堀。 | かくねっこなんかでほりっこにおっこちんなよ | かくれんぼなどで堀に落ちないようにしろよ |
| ほーたろ | 蛍。 | かわっぱたの草むらでほーたろめっけた | 川岸の草むらで蛍を見つけた |
| ぼっち | 小さなまとまりの山を数える単位。 | 田んぼん中に堆肥の山が六ぼっちあるかんな | 田んぼの中に堆肥の山が六つあるからな |
埼玉県の方言 一覧表(マ行)
| 方言 | 意味 | 例文 | 例文の意味 |
| まさか | とても。はなはだ。 | この電球はまさかあかりーやいね | この電球はとても明るいね |
| まみや | 眉毛。 | じーさんのまみやはなげーな | おじいさんの眉毛は長いな |
| みしみっけーる | 真剣になる。 | みしみっけーんねーから怪我するんだ | 真剣にならないから怪我するんだ |
| むる | 漏る。 | ふりーうちだから雨がむるんだい | 古い家だから雨が漏るのだ |
| めめず | みみず。 | 石をどかすとめめずがいっぺーいたいな | 石をどかすとみみずがたくさんいたよな |
| もーぼれる | もうろくする。 | 俺もおめーもずいぶんもーぼれたいなあ | 俺もお前も大分もうろくしたものだなあ |
埼玉県の方言 一覧表(ヤ行)
| 方言 | 意味 | 例文 | 例文の意味 |
| やぶ | 歩く。行く。来る。 | はいくおらちーやべ | 早く私の家に来てください |
| ゆいすいる | 言い負かす。言って諭す。 | しゃくにさわったんでゆいすいてくれたんさ | しゃくにさわったので言い負かしてやったのさ |
| よっぴて | 夜通し。一晩中。 | よっぴて仕事しちゃーからだに毒だんべ | 一晩中仕事していてはからだに良くないよ |
| よんど | よほど。よくよく。 | よんどからだのぐえーがわりんだんべ | よほどからだの具合が悪いのだろう |
埼玉県の方言 一覧表(ラ行)
| 方言 | 意味 | 例文 | 例文の意味 |
| らちゃあかねー | 仕事がはかどらない。 | やすんでべーじゃーらちゃあかねー | 休んでばかりでは仕事がはかどらない |
| わざと | 少し。気持ちだけのもの。 | わざとだけんど持ってってくんない | 少しだけれど持っていってください |


