東京都は47の都道府県の一つであり、それぞれに独自の文化や歴史が息づいています。
その中でも、土地ごとの個性が色濃く表れるのが「方言」です。
方言には、その地域ならではの温かみやユーモア、時には言葉だけでは伝わらない微妙なニュアンスが詰まっています。
本記事では、東京都の特徴的な方言や例文などを紹介していきます。
あなたの地元の言葉はもちろん、知らない土地の方言にも、思わず「おもしろい!」と感じる発見があるかもしれません。
それでは、方言の世界へ一緒に旅してみましょう!
東京都の方言 一覧表(ア行)
| 方言 | 意味 | 例文 | 例文の意味 |
| あいたちもーしそろ【相立ち申し候】 |
「時が立ちました」の古風な表現。
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それから四十なん年、相立ち申し候の学校である | |
| あいのしゅく【合の宿】(1) |
にぎやかな所とにぎやかな所の間の、ちょっとさびれている所。
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ここらも合の宿だからね | |
| あいのしゅく【合の宿】(2) |
あいの手。間にはいる物事。
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合の宿に一杯やろー | |
| あたじけない | けちだ。欲が深い。 | あたじけない話だが | |
| あたじけない | けちだ。欲が深い。 | そんなあたじけない料簡(りょうけん)の奴(やつ) | |
| いいまのふり | いい気になって。 |
そいつをまたいい間のふりで真似する役者がいるんだから情けねー
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| いギたない | かっこうがだらしない。 |
昔はちょっと横っつわり(横座り)なんかしていると、いギたないってよく言われましたよ
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| いけぞんざい |
いかにもなげやりなさま。ひどく雑なさま。
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いけぞんざいな返事が聞こえた | |
| いさくさ | ごたごた。いざこざ。 | 返せばいさくさはありません | |
| いじょく【居職】 |
家の中で、多くはすわってする仕事、またその職業の人。屋職(やじょく)の対。
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| いじをやく【意地を焼く】 | 気をもむ。意地を張る。 | つまらない意地を焼くもんじゃない | |
| いっぽんじめ【一本締め】 |
「手締め」の一つ。シャシャシャン、シャシャシャン、シャシャシャンシャンの一回。
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ただし、手は、一本じめである | |
| うんじょーする |
疲れたり困ったりしていやになり、どうしてよいかわからなくなる。
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入梅で洗い物も乾きゃしないし、本当にうんじょーしちゃう
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| えどでない【江戸でない】 |
江戸らしくない、田舎くさいという所から、道理に合わないこと。
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こう見たところ、江戸じゃーねえ | |
| おかちん【御餅】 |
女や子どものことばで、餅をいう。
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おかちん焼いてちょうだい | |
| おかったるい |
十分でない。もの足りない。
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お昼が少しおかったるかったから | |
| おかったるい |
十分でない。もの足りない。
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この給金じゃちょいとおかったるい | |
| おくれガくる【遅れが来る】 |
気おくれする。臆病な気持ちをおこす。
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| おさんじつ【お三日】 |
一日(ついたち)・十五日・二十八日をいう。
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お三日には赤のご飯をたいた | |
| おしたじ【御下地】 | 醬油。 | おしたじをとって頂戴 ※ 男は「したじ」とも。 | |
| おしまい【お仕舞】 | 化粧。 | 早くおしまいをしといで | |
| おしまいちゃんちゃん | すっかりおしまいの意。 |
ねっきり、はっきり、これっきり。これでもーおしまいちゃんちゃんよ
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| おしょさん【御師匠様】 |
「おっしょうさん」の転。 ※ 「おっしょさん」とも。
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| おしろこ【御汁粉】 | 「おしるこ」の転。 | おしろこを食べる | |
| おすもじ【御酢文字】 | 「すし」の女性語。 | おすもじでもとりましょうか | |
| おせおせ【押せ押せ】 | 延び延び。 | つい返すのがおせおせになっちゃって | |
| おそなわる | 遅くなる。 |
どうもおそなわりましてあいすみません〈遅くなったときのあいさつ〉
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| おちゃおけ【お茶請け】 | 「おちゃうけ」の転。 | 三時になるとお茶おけが出た | |
| おちゃっぴー |
おしゃべりで元気な女の子。
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おちゃっぴーな子だ | |
| おっかない | こわい。おそろしい。 | おっかなくってしかたがない | |
| おっこちる【落っこちる】 | 落ちる。 | おっこちるとあぶないよ | |
| おつくり【御作り】 | 化粧や扮装。 | その頃のおつくりは地味だから | |
| おつもり【お積り】 | 酒がなくなること。 | 〈銚子をとってつぐ、出ない〉何だ、もうおつもりか | |
| おつもり【お積り】 | 酒がなくなること。 | これでおつもりにしよう | |
| おひざおくり【お膝送り】 |
あとからの人を入れるために座っている人につめてもらうときのあいさつ。
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恐れ入ります、お膝送りを願います | |
| おみおつけ【御御御付】 | 味噌汁。 |
毎朝おみおつけにおこうこだった ※ 「おみょーつけ」「おつけ」とも。
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| おゆーや【御湯屋】 | 風呂屋。 |
お風呂行ってくるって言わないで、おゆ(う)や行くといった ※ 「おゆや」「ゆうや」とも。
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| おれくち【折れ口】 | 〈知人の〉死。 |
急に折れ口があって行くんだ ※ 葬式の忌み詞として使われる。
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| おーかわ【大川】 | 隅田川〈の下流〉。 | 川の近くの人はみんな大川と呼んでいた | |
| おーと | 大きいバッタをいう。 |
バッタ仲間の王様は、でっかいオート。これは遠くまで飛んで逃げる
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| おーね【大根】 | 根本。本心。ほんね。 | おーねはいー男なんだが |
東京都の方言 一覧表(カ行)
| 方言 | 意味 | 例文 | 例文の意味 |
| かいくれ【搔暮】 | 全然。全く。 |
西も東もかいくれわからない ※ 打ち消しの語を伴っていう。
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| かゲのぞき【影覗き】 | ちょっと顔を出すこと。 | この頃ちっとも影のぞきもしない | |
| きぶっせい | 気がつまる感じ。 | おばーさんに会うとどこか気ぶっせい | |
| きんぱくつき【金箔附き】 | 折紙つき。決定版。 | 貧乏の方じゃ金箔附きの金さんだ | |
| くかざり【九飾り】 |
「苦」に通じる「九」のつく日に飾ること。
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門松を飾るのはたいがいの家が二十八日でした。二十九日になったら飾らない。九飾りといって苦に通じるといって、縁起をかつぐ
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| くださいな【下さいな】 |
子どもが菓子屋などの店先で言うことば。女の子は「ちょうだいな」が多い。
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子どもの頃、店の人がいない時に、少し声を大きくして「くださいな」と言ったものだ
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| くろと【玄人】 | 「くろうと」の転。 | あの人はくろとの出だから | |
| くわいのきんとん【慈姑金団】 | のみこみの悪い人や事。 | よっぽどくわいのきんとんに出来上ってるんだ | |
| ぐれはま |
「はまぐり」の逆である「ぐりはま」の転。食い違うこと。
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すっかりぐれはまになった | |
| げんか【玄関】 | 「げんかん」のなまり。 | 子どもの頃は「げんか」と言った | |
| こぎたない【小汚い】 | うす汚い。 | こぎたない身なりをして ※ 「こぎたねえ」とも。 | |
| こけら | 魚のうろこ。 | まぐろのこけらを取る | |
| こってす | ことです。 | そのころのこってすから | |
| こつ |
千住小塚原(こづかっぱら)の遊里。
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公園ござれ、向島ござれ、コツござれ | |
| こびきちょー【木挽町】 |
銀座〈中央区〉の木挽町にあったところから、歌舞伎座をいう。
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歌舞伎座に行くことを「木挽町に行く」と、昭和の頃まで年輩者は言ったものである
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| こまっちゃくれる |
「こましゃくれる」の転。子どもが小さなくせにませていること。
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こまっちゃくれた女の子だ | |
| こーえん【公園】 |
浅草公園。またその花柳界。
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とど終に公園へ身を売るにいたるまで |
東京都の方言 一覧表(サ行)
| 方言 | 意味 | 例文 | 例文の意味 |
| さんぼんじめ【三本締め】 |
「手締め」の一つ。「いっぽんじめ」を三回くり返すもの。
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| ざっかけない |
粗野で、がさつで、丁寧でない形容。
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周囲が一般にざっかけない連中が多かったので | |
| しじみっかい【蜆貝】 |
「しじみかい」の転。内弁慶な子ども。
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あの子はしじみっ貝でこまる | |
| しっこしガない | 根性・意気地がない。 | しっこしのない男 | |
| しばや | 芝居(しばい)のなまり。 |
今月のおしばや、どーでした ※ 女たちは「おしばや」の形で多用。
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| しろと【素人】 | 「しろうと」の転。 | しろとはこれでこまっちまう。わからないんだから | |
| 〜じまう | 「〜でしまう」の転。 | 死んじまう | |
| 〜じまう | 「〜でしまう」の転。 | 読んじまった | |
| 〜じゃう | 「〜でしまう」の転。 | 死んじゃう | |
| じょーびったり【常びったり】 | いつも。常々。始終。 | あいつの家にじょうびったりだ | |
| すけない【少ない】 | 「すくない」の転。 | 知る人がすけない | |
| せけんさま【世間様】 | 世間の方々。 | そんな事をしたら世間様に申し訳がない | |
| ぞろっぺー |
だらしがないこと。いいかげんなこと。また、その人。
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あの人はどうもぞろっぺぇで困る | |
| ぞんき |
ぶっきらぼう。無愛想。不親切。ぞんざい。じゃけん。
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ぞんきなことを言うんじゃないよ |
東京都の方言 一覧表(タ行)
| 方言 | 意味 | 例文 | 例文の意味 |
| たまか |
倹約すること。質素。けち。
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そこの奥さんが大変たまかな人で | |
| 〜ちまう | 「〜てしまう」の転。 | 言っちまう | |
| 〜ちまう | 「〜てしまう」の転。 | やっちまった | |
| 〜ちまう | 「〜てしまう」の転。 | 買っちまえ | |
| 〜ちまう | 「〜てしまう」の転。 | どこに行っちまったろう | |
| 〜ちゃう | 「〜てしまう」の転。 | 言っちゃう | |
| 〜ちゃう | 「〜てしまう」の転。 | 買っちゃえ | |
| ちんちんもガもガ | 片足とび。 | ちんちんもガもガをしながら | |
| てく | てくてく歩くこと。 | 帰りはてくだ | |
| てじめ【手締め】 |
物事の成功や決着を願い、掛け声にあわせて手をしめる〈打つ〉こと。
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それを三度くり返すような、あんなやぼったい手じめはなかった
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| とうなす【唐茄子】 | かぼちゃ。 | とうなすが二つなっていた | |
| とんする | 幼児語で、落ちること。 | そっちへ行くと、とんするよ | |
| どんどんやき【どんどん焼き】 |
お好みやき。もんじやき。
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町に来る屋台のどんどん焼きは、客には焼かせない、結構高級なものだ
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東京都の方言 一覧表(ナ行)
| 方言 | 意味 | 例文 | 例文の意味 |
| のっかる【乗っかる】 | 乗る。 | この間バスに乗っかったら | |
| のっけに | 最初に。いきなり。 | 会うとのっけにしゃべり始めた | |
| のて【の手】 | 山の手。 | のてだねー | |
| のて【の手】 | 山の手。 | あれはのての噺家だ |
東京都の方言 一覧表(ハ行)
| 方言 | 意味 | 例文 | 例文の意味 |
| はばかりさま【憚様】 |
お世話様。お気の毒様。恐れ入ります。
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どうもはばかりさまだねえ | |
| はんちく【半ちく】 | 中途半端。 | 何をやらしてもはんちくだねー | |
| はんちく【半ちく】 | 中途半端。 | はんちくな仕事して | |
| はんてんギ【袢纏着】 |
鳶職・大工・左官など屋職(やじょく)の人たち。
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屋職っていう人は、もーいわゆるはんてん着ですね。これはもーことばが荒いんすよね
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| ひあわい【庇合わい】 |
くっついている家と家との間のせまい通路。
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ひあわいの風が涼しいねー ※ なまって、「ヒヤワイ」とも。
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| ふるしき【風呂敷】 | 「ふろしき」の転。 | ふるしきをひろげて | |
| ぶるさげる【ぶる下げる】 | 「ぶらさげる」の転。 | 荷物をぶるさげて | |
| べらぼー【箆棒】(1) |
馬鹿。馬鹿野郎! 人をののしる言葉。
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何言ってるんだ、べらぼーめー | |
| べらぼー【箆棒】(2) | ひどく。 | べらぼーに寒くなった | |
| ほとほとする | 困りきる。 | もうあいつにはほとほとした |
東京都の方言 一覧表(マ行)
| 方言 | 意味 | 例文 | 例文の意味 |
| まきもの【蒔き物・撒き物】 |
温習会や名びろめの時に、自分のお客様にさし上げる菓子などの配り物。
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おさらい会のまき物に会合のお茶菓子に最適です | |
| まじくなう(1) |
表面をまぎらかしてとりつくろう。
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ちょいとそこ、まじくなっといてね | |
| まじくなう(2) |
とりつくろう。言いつくろう。ちょっとごまかしてとりつくろっておく。
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なんとかまじくなっておこう | |
| まみえ | まゆ。 | わたくしが小さい時はまみえって言ってましたね | |
| みじんまく【身じんまく】 | 自分の身のしまつ。 | 自分の身じんまくもつかないくせに | |
| みずガし【水菓子】 | くだもの。 | なにか水菓子でも買っておいで | |
| みそっかす【味噌っ滓】 |
子どもの遊び仲間にも入れてもらえないような小さい子ども。
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まだあの子はみそっかすだから | |
| むきみやさん【むき身屋さん】 |
筒っぽのような袖の上っ張り。
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かすりのむきみやさんを着た女 ※ 貝のむき身を売り歩く人の服装から。
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| むぎゆ【麦湯】 | 麦茶のこと。 | 筆太に「むぎゆ」と書いてあるのを立てて |
東京都の方言 一覧表(ヤ行)
| 方言 | 意味 | 例文 | 例文の意味 |
| やじょく【屋職】 |
大工・左官・屋根屋など屋外でする仕事、またその職業の人。居職(いじょく)の対。
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| やっちゃば | 青物市場。 |
やっちゃばの旦那 ※ ヤッチャ、ヤッチャと取引きすることから。
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| やぼよー【野暮用】 |
つまらない用事。やぼな用事。
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この近所まで野暮用で来たものだから |


